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おじさんの忘れられない味![]() 父は私が物心ついた頃、 神奈川県横須賀市の米軍のキャンプでコックをしていました。 そのせいで私は小さい頃より、当時あまりメジャーでなかったハンバーグや パットローストビーフ、ローストチキン、ポークビンズ等を食べ、 飲み物はレモネードやコーラでした。 もちろん私が好きだった我が家の小麦粉とカレー粉を よく焙煎した独特の香りがするルーと鳥ガラスープをベースにしたカレーや肉ジャガを よく食べました。 また、家が海に近かったもので、休みの時など 父や叔父さんに連れられて魚釣りに出かけました。私が覚えているのは、 ハゼをたくさん釣ってきて、それを焼いてカゴに入れて陰干をし、 それをお正月近くになると、醤油、ざらめ、酒、みりんで一晩煮続けて作った、 ハゼの甘露煮は骨まで柔らかく絶品の味でした。 その後、父が亡くなって以来一度もそれらの味にふれていません。何度かその味を求めて、 試行錯誤しましたが、結局のところ現在もその味を再現する事はできませんでした。 その中でも唯一近づけたのが、煮込みハンバーグでした。 あれから35年、外食産業はフランチャイズ化し、また家庭料理も調味料も含めてインスタント化して 没個性的な味付けになってきていっているのが現状です。そこで私は少しずつではありますが、 私の幼い頃の家庭の味を、記憶をたぐりつつ、ご紹介できたらと思っています。 おじさんの父の歴史
私が父や、父の友人のジミーや当時の人たちの事を考えた時、戦争は、社会的及び経済構造の歪みから生み出されてしまう必然であると感じますが、 しかし、その結果、戦勝国であれ、敗戦国であれ、全員が傷つき、心のどこかでフラッシュバックを起こし、苦しみ、その事を内在的に一生背負って生きていく、 悲惨な出来事だと痛感しています。 ちなみに当時の雰囲気を味わいたい方は2003年、阪本順治監督の『この世の外へ クラブ進駐軍』 萩原聖人・オダギリジョー 出演の映画をお勧めします。 地味で感情を押さえぎみの映画ですが、クオリティが高い作品だと私は思っています。よかったらごらん下さい。 最後に余談となりますが、おいしいものは、思想、心情、宗教(宗教の教義の決まり上、食べられないものがありますが)、 経済に関係なくおいしいものは、美味しいのです。 Copyright©2005 Cooking akira |