2005年4月23日のプログ


2005年4月23日        2007年5月27日
  本年3月25日。21世紀に入って初めての万国博覧会が、 愛知県で『’2005愛・地球博』のテーマの基、開催されています。 万博と言えば思い出されるのが、1889年にフランスのパリで開かれた万国博覧会と日本の1970年の 大阪万国博覧会でしょう。

  なかでも最も鮮明に覚えているのは、大阪万国博覧会です。 その時のテーマは『人類の進歩と調和 』でした。 岡本太郎氏デザインの“太陽の塔”がシンボルタワーとされ、“月の石”や“動く歩道”に日本中がモーレツ に燃え上がっていました。三波春夫さんの『世界の国からこんにちは』が今も耳に流れてきます。

  丁度、高度経済成長期の真っ只中に開催された大阪万国博覧会では 開催期間6ヶ月、来場者数6422万人という記録的な入場者数を誇りました。 これは現在の日本の人口の2分の1以上が会場に訪れているというという驚異的な数値です。 私たちの世代は、漫画雑誌やテレビなどで、空想科学漫画や映画など、21世紀に向けて、 合理主義的な科学は万能で、人間にとって明るい未来と、幸せをもたらすものと考えて、皆が一生懸命、近代化社会をめざして 頑張ってきました。

  しかし、いざ21世紀になってみると、未来への期待感で満ち満ちていたあの素晴らしい昔の時代が なつかしく、少年時代の音楽やファッションやおもちゃや自動車等、いわゆるレトロと呼ばれる 商品を見ると、ため息が出て、「イエスタデイ・ワンス・モア」と言って その時代にうずくまってしまいたくなるような気分になります。 突然、もしあの時代の街並みの中に自分が放り出されたら、もう現在には戻って来れないくらい 21世紀拒否オヤジになってしまうように思います。そう考えてしまうのはなぜなのでしょうか。

  そんな私たち世代の代弁をしてくれているアニメを最近見つけました。それは原恵一監督の 2001年に製作上映された『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!おとな帝国の逆襲』です。 見ていると、なつかしくて、なつかしくて、きっとアニメの中の『20世紀博』が春日部にあったら、 しんちゃんの両親のように私も家族を捨て、夕日の中に消えて行ってしまうでしょう。

無国籍で何だか意味が理解しにくい、最近の宮崎駿監督のアニメより、時代背景が明確で現実的な作風。その中にあるメッセージがポジティブで、 しかも人間に対する思いやりや、優しさをストレートに伝えてくれる、そんな原恵一アニメの方が私として共感が出来ます。

  本編での、原恵一監督のメッセージはきっと、かつてあった、コミューン(共同体)が、つくれない現実。そして 私たちが逃げていた過去への落とし前をつけたかったのではないかと考えます。 様々な社会問題が起きているのにも関わらず、個人では解決できない、かといって集団も機能しない 今の時代に対しての警告を発しているように私には思えてなりません。早く過去を清算してきなさい!!と言って・・・。

最近の中国や韓国での反日デモを見ていると、何とも言えない気持ちになってしまう、そんな今の私です。

(2005年4月23日 記・玉井明)

トップページに戻る