思い出の大通りに
赤煉瓦倉庫 あかれんがそうこ が見える大通り
黄色い 銀杏 いちょう が高層ビルから
吹きおろす 野分 のわけ にハラハラ
舗装した路面  カットバックのように
右に左に揺れて落ち葉が舞う
僕の心は葉隠れ、葉隠れ、葉隠れ
ぜんぶ飛ばしてしまおう
あの頃の風が立つ


後ろを振り向くと郵便局の向こう側
石畳を走る路面電車
強めのコントラストの空気に
スタジアムの逆三角形の照明灯
右に曲がればマリンタワーの光
浮き上った街路樹
僕の心は葉隠れ、葉隠れ、葉隠れ
ぜんぶ想い出は霧の中
あの頃の風が立つ


夕暮れ時の元町通り
ショーウインドー越しに写る
チェックのセーターと赤いマフラー
「人間って暖かいのネ」
僕の手を取ってぽつんと言った君
その言葉を理解できなかったあの時
僕の心は葉隠れ、葉隠れ、葉隠れ
ぜんぶやまぶき色の港の灯り
あの頃の風が立つ

'2007.11.25  by タマイ アキラ

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