明のページ-「近頃、私が思う事」

「近頃、私が思う事」

1993年(平成5年)福祉タイムズ 499号(11月)掲載                玉井  明
猫のカット  私は障害者のための障害者の地域での活 動の拠点づくりをめざす事業部と2つの地域 作業所を運営している作業部を持つ団休の代 表をしています。

 職業がらボランティアの方をはじめ様々な 地域の人たちとの付き合う機会が多い毎日で す。そんな時に私として心がけていることは まず、相手の話を受けとめ、一度相手の立場 に立って物事を組み立ててみてからこちらの 言いたいことを言う。そのことが人間関係を 作るテクニックかもしれません。 そうは言ったものの、私自身、今の仕事がか なり煩わしいというか、めんどくさく感じる 昨今です。

 智に働けば角が立つ。情に棹させは流され る。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住 みにくい。一と漱石先生も言っています。

 ところで元来私は人に対して好き嫌いが激 しく人間と付き合うよりパソコンやオーディ オやドライブなど機械に向かうことが本当は 一番好きなんです。しかし、どういう訳か周 りがそうさせてくれず、知らず知らずのうち にリーダーシップをとらざるを得ない立場に 気がついたらなっていました。

 また作業所などを運営していると、いろいろ 私の立場を問われます。私は職員としての自 分と障害者としての自分を併せ持っています。 つまり管理する側の職員と管理される通所 者の間で板挟みになってしまうのです。そう いうときは「まあ、まあ、まあ、まあ」とい うしか道はないなあとしみじみ思っていま す。

 こんな私でも一つだけ許せない事がありま す。それは障害者を一つの人格と捉えられな い業界人がいることです。福祉屋の条件は障 害者を一人の人間として、隣人として付き合 えるかどうかにかかっています。善意の押売 ではなく、常に障害者の行動に対して待てる 人でいてほしいと願っています。    

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